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事例19

親から相続で引き継いだ田舎の中古の建物がついた不動産。

田舎に帰る予定もない。別荘で使う予定もない。いっそこの際売却してみようと不動産会社に打診して

査定してもらうことに。水道・排水・電気・ガス すべてライフラインも整っている平成8年築の比較的使い

やすい物件。売却依頼をだしてからほどなく買い手が見つかったと連絡があり、金額の交渉をして

双方折り合いがつき、あとは契約を行うだけとなった。しかし金額が合意に至った後になって後日

仲介業者から連絡が来て、水道の配管が他人の敷地に入っている。このままではいけないので配管の

移設工事代金が数十万かかりますが早急に工事をしてください。契約日まで日にちがないので早急に

お願いします。と言われた。 なにか違和感がある、と思い他の不動産会社に以下のように相談した。

①契約日前に不動産会社から配管のことを言われた。

②契約日前ということは買主と金額の合意はすでに終わっている。

③相続の物件であり、自分自身は物件のことをよく知らない。

④水道の配管が他人の敷地内に入っていることが何を意味しているのかさえわからない。

⑤金額の合意のあとに多額の費用がかかることに納得しずらいところがあった。

⑥なぜそういう状態に至ったのか、経緯はなにも説明がなかった。

⑦通常水道の引き込みは公道から直接自分の所有地に引くものであり、他人の敷地を跨ぐことは いまの行政の指導上許可されていない。

⑧平成8年当時もすでに法整備が進んでおり、いかに親類の土地であっても引き込みは許可されていない。

⑨跨いでいるのはまったくの他人の敷地内であり、親戚縁者でもない。

⑩相続する前は父親も問題なく使っていたようだった。

このことを踏まえ調べてもらったところ、あぶりだされるように隣接の所有者が関与している重大な事実がわかってきた。

父が生きていたころ、隣の敷地を購入した新しい人が建物を建てた際、駐車場のスペースが

なく敷地いっぱいに建物が建ってしまった。そこで隣人は父に対し敷地の一部を譲ってほしい。

5坪ほどでいいので宅地の一部を購入したい。と言って父と交渉。直接個人間で売買を行った。

しかし、隣人が購入したその土地の下に父の居宅に続いている水道管が偶然入っていたが隣人は

そのまま使用していた。父の居宅の水道の出は問題がなく、当人同士は水道のことには全く気が付かず

月日が経った。そして父が亡き後不動産を売却しようとしたときに隣人が水道管を調べてもらったところ

隣人の敷地の中に父の居宅に続いている水道管の存在が明らかになった。

もうすでに売買目前ということもあり、不動産会社の立会いの下、協定書を作り一応の収まりがついた。

なぜこのようなことが起こるか。

①父の時代の売る方と買う方の敷地の調査がどちらがするのかはっきりしていない。

②個人間売買であり、どちらに責任があるのかも決めていないためにそのまま改善せずに年月が経った。

③登記簿と照らし合わせてみるとおかしいことに気付くのに双方ともに登記簿を見ていない。

④司法書士を入れているから安心だと思い、多岐にわたる調査事項はすべて省略して、所有権移転をすれば

終了と思いこんでいた。

※この場合相続人がこの事実を把握するのはほぼ不可能であり、上記の不動産会社も全く気が付いていなかった。

このケースは不動産会社の注意の仕方や念入りな調査が事前に発見するものであり、

不動産売買を依頼する会社の担当者と意思疎通をよく行っていること、調査を入念にするようお願いしておきたい。

 

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