事例10 分譲地内に建つ平成17築の建物を持っていたが売主の家族の諸事情により、売却することに。 管理会社が管理している分譲地なので何も問題はないと思って不動産会社に査定を依頼した案件。 私どもが売主に聞き取り調査をしていく段階で分譲地を管理している 管理会社が水道料金を4割増しで請求していたことが発覚。 さらにそのことを不服とした売主を含んだ住民の大半が管理費を払っていなかった。 つまり住民と管理会社との間で勝手に水道代と管理費を相殺していた、というもの。 売主が管理会社に「売買契約後新所有者が決まった際はどうなるのか?」との問い合わせに管理 会社が出した答えは…。 「新しい所有者には正規の管理費を請求します。水道代はおそらく4割増しのそのままで 請求が行くと思います」との驚きの回答が。 ではなぜ水道代が4割増しで請求できたのか?との疑問が出てくるがこれには理由がある。 ②水道を引くのに大もとの本管からの引込みは 行政と管理会社との契約のみだった。 ③あとは各区画それぞれに水道メーターを付けてそれを管理会社は「個々のメーターは行政との 供給契約だ」と偽った。 ④メーターを調べ集金に来るのは行政の委託会社ではなく、分譲主つまり管理会社の 担当者だった。 ⑤一般家庭において通常水道料金の計算等はあまりしないことを知っていた上で 行われた不当なやり方だった。 今現在この分譲地は料金の徴収が不明確となっているが行政はどこまで把握しているのか? 最終的な責任は誰が取るのかとの問いに対し、 「私どもは事前に管理会社に指導していた。責任はその管理会社に帰属すると思います」 もし管理会社が倒産したらどうするのか?との問いに対し 「管理会社が倒産したらもう一度 各住民の方々に加入金を支払っていただくしかない」 加入金は既に住民は支払っていることになっているが? 「それはその管理会社と住民の方それぞれの契約の問題で当職は関知しないしできない」 との返答。 私がこの物件を扱うことはもちろんなかったが所有者には早々に管理会社と文書で やりとりをする事を勧めた。 この時までこの所有者は自分たちが問題のある物件を売ってしまう、売りに出してしまう、 ということを認識していなかった。 私自身もまさかこのような事態が出てくるとは思わなかったが、所有者との話し合いは やはり重要だ、と 改めて思い知らされた事案だった。 |