事例18 不動産会社が売りに出した分譲住宅地を購入しそのまま建物を立てずに5年後、売却することに。 分譲された住宅地なのでライフラインや管理などが行き届いている整然とした場所。 5年の間に他のすべての区画は建物が立っていて人気のある地域だった。 購入したときの不動産会社はすでになくなっていたが「売ること」に関してはなにも問題がないだろうと思ってい た。 金額の折り合いをつける際水道引き込み工事を売主側でやるか買主側でやるか交渉の末、買主側で行う ことになった。 手付金ももらい、あとは引き渡し日を待つばかりと思っていた矢先 配管の場所、水圧、工事費等なにも問題はなかった。ただ行政が引き込み工事を許可できない。 と言っている。 すぐに行政側の説明を聞きに行った。そのときの答えはあまりにも信じがたい内容だった。 「水道管は行政の責任に帰属するが、その分譲地の道路に関しては当初分譲したときの会社が すべての区画の買主に持分として持たせたのでその買主達全員から道路使用承諾書を取ってきてほしい」 との内容だった。それはおかしい、と反論しこちらの状況を説明した。 ①その分譲地を買ったのは他の住民の人達よりも一番先に買っていたのでなぜ承諾書がいるのか。 ②土地を購入したときの契約書には水道も直ちに引き込み可能と明記されており、承諾書の文章は一切ない。 ③購入した当時、念のため行政に確認を取ったところ水道引き込みは可能です。と言われていた。 ④他の区画の人達が水道を引き込むときには自分に承諾を得ていない。つまり購入してすぐ建物を 建てた住民は一番先にその分譲地を購入していた自分から承諾書のようなものは取得していない。 ⑤仲介を頼んだ不動産会社も水道に関しては調査しており、その時も行政は大丈夫です。と返事をしている。 ⑥分譲地内の住民すべての承諾書がいるということは、誰か一人でも承諾しない人がいたら許可がでないということになる。 ⑦その道路は位置指定道路に認定されており、法的にみても行政が認めた道路であり、そこから水道が 引けないのはおかしい。 ⑧他の区画の住民と同じ持分を自分も持っており、立場は同じにも関わらず、水道が引けないということは 建物が建てられない。なのに道路が破損や陥没した場合持分負担者の数で費用を負担することになっている。 等々説明したが行政との話し合いは折り合い付かず。 結局不動産会社と話し合った結果すべての住民一戸一戸から承諾書をもらってくることに。 どこか一つでも承諾書がない場合、契約不履行となってしまうので一軒一軒頭を下げて数十件の区画から 承諾書を貰えた。が一軒だけどうしても貰えない区画があり、その説明を行政にしたところ 大体の区画からもらってきているので今回はこれで許可します。との返答が…。 なんとも釈然としない結果だったが契約不履行にはならず引き渡しを完了させた。 水道を引く。一見なんでもないようなことでも事の行き違いであっという間に契約不履行になることもあり 不動産取引の複雑さがうかがえる。 |