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事例9

全面の土地との高低差が3mあり、擁壁(ようへき)で立ち上げた見た目にも良好な物件を
売却することにした。

擁壁の手前に倉庫があり、基礎が少しひび割れしていたが最近は物置として使っていたため

何も問題ないと思っていた。
中に入っているものは草刈機や芝刈り機だったので買主が農機具として使用したいと

の申し出もあり、なにも考えず中の器具ごと売却した。

後日、仲介した担当者から連絡があり、売却した物件に不同沈下(一方的に斜めに傾く状態)
があるとの指摘をされ

「ヒビがあることは知っていたが沈下などはしていない」と答えた。

さらに後日
工事人立会の元、調査をした結果
倉庫のヒビは大きいところで幅8センチメートル全長は4メートル
及んでいて
ヒビの原因となっている不同沈下は予想以上のものだった。

買主は直してくれないと契約は破棄にすると言ってきたが、売主は売却したお金の使用用途が

あったため、工事する費用はすでに残っていなかった。

そして最終的に買主を納得させたのは…。

簡単な補修工事で亀裂部分を埋めてその後5年以内にもう一度同じ箇所に亀裂や不同沈下が

認められた場合売主が費用負担する旨の実印押印した確約書を差し出して納得してもらうことに。


売主はこの時20万円ほどの工事代金を支払い、5年間を待つことになった。

売って権利がなくなっているにも拘わらず5年間の待機期間があるのはなんとも切ないところ。

売主の瑕疵担保責任(かしたんぽせきにん)を改めて考えさせられる事例。


*瑕疵担保責任*
売買の目的物に瑕疵(取引上、普通に要求される品質が欠けている、欠陥がある状態)があり
取引上、要求される通常の注意をしても気づかぬものである場合に売主が買主に対して負う責任

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